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2021年11月10日号 (第414)

スキャナ保存関係

 みなさん、こんにちは、今年も残すところ2ヶ月弱です。年末調整の時期が近づいてきました。また、ふるさと納税をされる場合も、最後の駆け込みの寄付をする時期ですので、ふるさと納税をするつもりの人は気をつけておく必要があります。

 今回は、令和4年1月から適用される電子帳簿保存法のスキャナ保存について、ご紹介していきます。

スキャナ保存制度の改正内容

 スキャナ保存制度は、取引先から受け取った請求書等及び、自ら作成した請求書等の写し等について、一定の要件のもとで、書面ではなくスキャン文書(電子データ)による保存が認められる制度です。

 従来は、承認制だったものが承認不要となります。また、タイムスタンプの要件について緩和されます。また、適正事務処理要件と呼ばれる相互牽制、定期的な検査及び再発防止策の社内整備が廃止されます。また、検索機能の確保要件についても緩和されます。

スキャナ保存の対象となる書類

 スキャナ保存の対象となる書類は、下記のものなどが典型的です。

契約書、領収書、借用証書、預金通帳、請求書、納品書、送り状、輸出証明書、検収書、入庫報告書、貨物受領証、見積書、注文書、契約の申込書

 実務上保存が必要とされる原始証憑について、スキャナ保存の対象となります。上記の中に決算書や仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿が含まれていません。

 仕訳帳や総勘定元帳などは、電子計算機を使用して作成する帳簿に含まれるためデータで保存するか、あるいは、紙で保存する必要があります。

 また、規則第2条第4項に定める決算関係書類と呼ばれる、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類はスキャナ保存の対象となりません。

適用要件

 スキャナ保存を行うための要件は、書類について重要書類、一般書類に区分した上で取り扱いが異なります。なお、今回の改正より前に入手している重要書類についても過去分重要書類としてスキャナ保存することが可能です。

 重要書類とは、契約書、領収書、借用証書、預金通帳、請求書、納品書、輸出証明書など資金や物の流れに直結する・連動する書類です。一般書類とは、検収書、入庫報告書、見積書、注文書、契約の申込書などです。

要件

重要書類

一般書類

①入力期間の制限

②一定水準以上の解像度による読み取り

③カラー画像による読み取り

④タイムスタンプの付与

⑤解像度及び階調情報の保存

⑥大きさ情報の保存

⑦ヴァージョン管理

⑧入力者等情報の確認

⑨スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持

⑩見読可能装置(ディスプレイ)の備え付け

⑪整然・明瞭出力

⑫電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け

⑬検索機能の確保

 

 

 

 

 上記の要件については、普通にスキャナで保存すれば問題なく満たされる部分も多くありますが、一方で注意が必要な部分もあります。

 次回は、スキャナ保存を利用する場合に、特別配慮すべき事項についてご紹介していきます。

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