税務最新情報

2021年10月01日号 (第410)

相続税もe-Taxの時代に!

 みなさん、こんにちは、東京都のコロナ感染者、極端に減ってきています。ワクチンの効果なのか季節的な影響なのかよくわかりませんが、とりあえず朗報です。

 さて、先日、国税庁から事務所あてに、「相続税申告のe-Tax利用のお願い」というハガキが送られてきたので、それにちなんでの話題をご紹介します。

極端に低い相続税でのe-Tax利用率

 相続税のe-Taxによる申告は令和元年10月以後と、利用可能となった時期が他の税目に比べて極端に遅かったこともあり、電子申告利用率が低い状態となっています。

 法人税申告や法人の消費税申告は88%以上が電子申告となっているのに対して、所得税の申告は64.3%が電子申告、相続税にいたっては15.4%だったそうです。

 所得税の電子申告割合が低いのは、税理士に依頼していないケースが多いことが想定されますが、相続税申告は税理士が申告することが多いのに低率となっています。単純に相続税の電子申告が始まって日が浅いことが一番の原因ですが、継続した仕事ではないのに利用者識別番号を取る必要があること、過去において郵送による別途書類の送付が避けて通れなかったことなどが考えられます。

 実は、最近はかなり改善されています。

利用者識別番号の入手

 税理士からすると、新しい関与先について、利用者識別番号を新たに付与すること自体は簡単なのですが、相続税のような単発の仕事の場合に利用者識別番号を入手するか否か考えてしまう場面があります。特に相続税の場合は、普段は関わりのない人でも、相続財産を取得している人の利用者識別番号を入手する必要があるからです。申告書を作成して、印鑑証明と実印の押印をもらうほうが、申告書について納得済みであるという、気持ち的に安心感があるというのが理由としては大きいと思います。

 また、別の話ですが他所から関与先が移ってきた場合、電子申告は利用していたが利用者識別番号がわからない、あるいはパスワードがわからないというケースが多いです。利用者識別番号があるのかどうかわからない場合には、税理士が変更届出書を代理送信すると、すでに利用者識別番号が存在する場合には、納税者あてに利用者識別番号と仮暗証番号が郵送されてきます。ちなみに、郵送なので時間がかかるため実務的には新しい番号を入手するケースもあります。ただし、新しく番号を取ると、以前の利用者識別番号で送付したものなどが見ることができなくなるので、安易には新しい番号を取るというのも躊躇してしまいます。過去に利用者識別番号を入手していない場合は、税務署から電話がかかってくるという流れになってしまいます。

 結局、新しい識別番号入手のほうが手間がかからないのですが、相続税を想定した場合に、過去に所得税申告はしたことがあって、利用者識別番号があるはずだけれど、一回の申告のために新たに利用者識別番号を取るのか否かなど少し心理面で障壁となります。

イメージデータによる戸籍の謄本などの送付

 相続税の申告では、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書など、様々な添付書類が必要となります。相続税のe-Taxでは、そのような登記簿謄本、印鑑証明書など公的機関が交付した書類、実印が押印された遺産分割協議書などもPDFにしてイメージデータで送信可能となります。

 容量的には、一度に送信できるファイルが136個まで、容量は8メガバイト、さらに別途10回に分けて送付できるので理論上は88メガバイトまで添付資料を電子申告で送付が可能です。

 相続税の申告は、従来は様々なサイズの書類を紙で提出する必要がありましたが、現在は電子データでまとめて送付できることで、管理面など事務作業としては軽減されることが期待できます。

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