税務最新情報
2021年06月01日号 (第398)
在宅勤務に係る費用負担などに関するFAQ ②
みなさん、こんにちは、医療関係のお客さんや高齢の同業者から、ワクチンを接種したとの話をちらほら聞くようになりました。コロナに関しては、少し先が見えるようになってきた感じですが、壊れてしまった経済がどうなるのかが全く見えない状況です。
さて、今回は、国税庁が公表している在宅勤務に係る費用負担などに関するFAQの内容の2回目です。
通信費の実費部分の計算方法
テレワークなどの在宅勤務では、インターネット、電話料金、電気代などが主に発生しますが、まずは通信費に関する具体的な計算方法について、国税庁のFAQからご紹介していきます。
① 通話料については、通話明細書で業務に係る通話料金を確認して、その金額を支給する場合は課税されないとされています。感覚的には、通話明細から数字を拾うことが実務に馴染むのかなと疑問に思いましたが、次のように説明されています。
業務のために通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、後に示す算式で業務のための通話に係る料金としてよいそうです。なお、通話を頻繁に行う業務とは、営業担当、出張サポート担当など、顧客や取引先等と電話で連絡を取り合う機会が多い業務として企業が認めるものとしています。会社が、通話を頻繁に使うと判断すれば、後に示す算式が利用できることになります。
② 基本使用料については、業務で使用した部分を合理的に計算する必要があり、後に示す算式で算出したものを支給する場合は課税関係は生じないそうです。
③ インターネット接続に係る通信料についても、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要がありますが、後に示す算式により算出したものを支給する場合には、課税されないとのことです。
◆具体的な算式
国税庁が示している算式は下記のとおりです。
簡単に言えば、その月の日数に占める在宅勤務の日数を乗じて2分の1するという計算式です。2分の1という数字について、最初は大雑把なイメージを持ちましたが、国税庁の説明によれば下記のとおりです。
※ 上記算式の「1/2」については、1日の内、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、次のとおり算出しています。
① 1日:24 時間
② 平均睡眠時間:8時間
(「平成28年社会生活基本調査」(総務省統計局)で示されている7時間40分を切上げ)
③ 法定労働時間:8時間
④ 1日の内、睡眠時間を除いた時間に占める労働時間の割合:
③÷(①-②)= 8時間/(24時間-8時間)= 1/2
実際に計算すると、フルにテレワークの状態でも、勤務日数が22日と考えると、下記のような計算になります。
ざっと、支払総額の4割弱くらいの数字となってしまいます。インターネット等については、仕事以外ではほとんど使わないというケースもあるでしょうし、微妙に厳しいなと感じます。より精緻な方法で計算している場合は、それを認めてくれるとのことですから、一種の簡便法と捉えるべきでしょうか。
ただ、このような算式の存在を知らないで、実費精算のつもりで通信費を支給しているケースなど、税務調査で問題となるケースが多く出てきそうです。
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