税務最新情報

2026年05月20日号 (第576)

「会社標本調査」で経済環境を読み解く

 みなさん、こんにちは。暑い日が増えてきました。最低気温と最高気温の気温差が10度以上あるなど、服装に配慮する必要がある季節です。

 さて今回は、国税庁が公表している「会社標本調査」を参考に経済のリアルを考えてみましょう。

日経平均6万円超で景気はよいのか?

 ニュースや新聞報道で日経平均6万円超が注目されて、景気が良いように見えます。クライアントからも、日経平均6万円の理由を質問されたりすると困るのですが、東京証券取引所に上場されている会社数が4,000社弱で、日経平均は225銘柄なので、平均値ではありません。さらには、ユニクロを運営するファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテストなど超優良銘柄の株価の影響を受けるので、日本経済を表している数字ではないというのが実際のところです。

 ちなみに株価から経済を観察する場合は、TOPIXが東証プライム市場の全体の時価総額をポイントで表しているので、経済実態に近いかもしれません。ただ、1968年の株価を100とした場合の指標なので、金額で表示される日経平均の方が直感としてわかりやすいし、インパクトがあります。

国が行っている統計

 日経平均やTOPIXとは異なり、国が行っている統計がいくつかあります。有名なところでは経済センサス活動調査です。店舗数や従業員数などの情報が入手可能です。ただ、利益額とか赤字割合などはわかりません。

https://www.stat.go.jp/data/e-census/2026/index-2.html?utm_source=chatgpt.com

 国税庁が公表している「会社標本調査」は、利益額や納税額の数字がリアルに報告されているので、経済の実態を把握するには思いのほか重宝されています。

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon2024/pdf/R06.pdf

会社標本調査を読み解く

 さて、今年の3月に公表されたのが令和6年度分の会社標本調査ですが、かなりリアルな情報が読み取れます。

 最初に会社の規模感ですが、資本金1,000万円以下の会社等が84.1%を占めます。さらには資本金500万円以下が77.7%に至ります。経営者の方が、資本金1,000万円だと小さな会社と謙遜されるケースがありがちですが、日本の法人の大多数が中小企業であることを証明してくれています。

 次に法人税が課税されていない欠損法人の割合ですが、令和6年度で60.3%です。今回の比較で最も古い平成26年度分で欠損法人が66.4%なので、微妙に欠損法人の割合が減少しています。景気が少しずつ良くなっていると判断できるかもしれませんが、60%が税金を納めていない赤字の会社というのが経済の実態です。欠損法人というのは、単純に赤字なだけでなく、単年度黒字でも繰越欠損金があり法人税がかかっていない法人のことを指します。

 さらに業種別に欠損法人の割合などが記載されており、最も欠損法人の割合が高いのは出版印刷業となっており、業界の状況の善し悪しの判断の指標としても使えます。また、業種別の1社当たりの交際費の額など、経営者の方が気にされている数字が読み取れます。

 読み始めると興味深い内容がたくさんでてきますし、身近な経済状況を読み解くにはとても良い資料だと思います。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ