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2026年05月11日号 (第575)

非上場株式の評価の見直し

 みなさん、こんにちは。3月決算法人の確定申告時期です。比較的大きめの会社は4月中に目途が立っているかもしれませんが、中小企業は決算作業の山場ではないでしょうか。体調を壊さずにのりきりましょう。

 今回は、国税庁が4月20日に「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)資料」を公表したのでご紹介していきます。

問題の所在

 4月20日に行われた有識者会議ですが、時期的には令和9年度税制改正に向けた準備であり、順調に進めば令和10年分から非上場株式の評価について変更するという流れになると思われます。なお、資料については下記のとおりです。

https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260420/pdf/01shiryo_kabukaigi.pdf

 会計検査院の検査によると、「類似業種比準方式」を利用すると「純資産価額方式」に比べて相当低い水準の評価になっているという問題があり、「配当還元方式」を利用することでさらに評価が下がる点を指摘しています。

 類似業種比準方式の場合、評価会社の規模が大きいほど株式の評価額が相対的に低く算定される傾向があります。また配当還元方式については、昭和39年に通達が制定されたまま還元率が見直されていないので、正しい評価ができていないとしています。

 そして、これらの評価方式間の評価額のかい離を利用したスキームが存在しているので、それらのスキームを紹介しています。

見直しの方向性

 上記資料の23ページには、「見直しの方向性」と記載があり、次のような内容となっています。

①評価額の“崖”の解消

・異なる規模区分の「評価会社が発行した取引相場のない株式」を取得した者間の株式評価の公平性を確保

・評価額操作の誘因となる評価方式間のかい離を排除

②実務・学術上の進展を踏まえた「今日的観点」からの見直し

・通達制定当時から金利変動を踏まえ、適正な還元率へ見直し

・継続企業の前提のもと、個々の企業の収益力等を反映できる評価方法

・企業評価に関する学術研究の進展や税務以外における企業評価の手法等も参考

③評価額の「恣意性・操作性」の排除

・配当・利益、会社規模等の操作などにより株価を圧縮するスキームを排除し、株価の中立性の確保

・配当還元方式における、特例的評価の趣旨を踏まえた見直しと適用株主を作出するスキームの排除

④第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価

・近年のM&Aによる第三者への事業承継の増加とその際の企業価値評価を踏まえた検討

・継続企業を前提に、純資産価額方式における引当金の取扱いも含め、実務上の取扱いを踏まえて検討

 1回目の有識者会議ということですが着地点の方向性は決まっており、租税回避スキームの排除、配当還元方式の見直し、M&A的な評価が着地でしょうか。有識者会議を経て軌道修正は行われていくと思われますが、より公平感のある改正が期待されます。

 なお、有識者会議の議事要旨についても下記のとおり公表されていますので、気になる方はご覧ください。

https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260420/pdf/01giji_kabukaigi.pdf

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