税務最新情報

2026年02月20日号 (第567)

令和8年度税制改正 所得税⑤

 みなさん、こんにちは。確定申告の期間に突入です。令和7年は株式と不動産の高騰の影響により株式の譲渡、不動産の譲渡などが多いようです。購入した時の金額が不明である場合など、難しい事例もあるので、早目にとりかかりましょう。

 さて今回は、令和8年度税制改正の5回目です。

NISAの年齢制限の撤廃

 NISA口座について、口座開設可能年齢の下限が撤廃されました。1月1日において18歳未満の場合、年間60万円まで、累計で600万円まで「つみたて投資枠」が利用可能となります。令和9年1月1日以降から口座開設が可能となります。

 ちなみに、18歳以上のフルスペックNISAの場合は、年間投資額の上限は「成長投資枠」が240万円、「つみたて投資枠」が120万円です。また、累計での投資枠は1,800万円までで、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限となっています。

暗号資産について分離課税の適用

 居住者等が暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。)の譲渡等をした場合、その譲渡による譲渡所得については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税されます。また、損失が生じた場合に3年間繰越控除が可能となります。

 この改正は、金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡について適用されます。見通しとしては、令和10年1月から適用開始と言われています。

 現状、暗号資産の譲渡について総合課税が適用され、譲渡金額が大きい場合に所得税及び住民税について最高で55%の税率が適用されます。以前から分離課税を待望する声があり、暗号資産保有者にとっては念願の改正と言えるでしょう。

私募債の分離課税適用の厳格化

 同族会社の役員等がその同族会社以外の法人が発行した社債の利子で、実質的にその同族会社から支払いを受けるものと認められる場合の利子を、総合課税の対象とします。令和8年4月1日以後に支払いを受けるべき利子から適用されます。

 平成25年度税制改正前は利子所得が分離課税の対象であることから、同族会社が身内の個人に高率な社債利子を支払うことで、低い税率を利用するスキームが流行りました。平成25年度税制改正で、個人が同族会社から支払いを受ける社債利子について総合課税に取扱いが変更されました。しかし、第三者を介在させることで同族会社からの社債利子に該当しないようにする、あるいは、社債の持ち合いを利用するなどの脱法行為が行われていたようです。昨年、著名な資産家が第三者を介在させるスキームで、国税局が行為計算否認を適用したとの報道がありました。今回の改正は、このようなスキームを直接的に防止するための改正となっています。

ミニマムタックス課税の強化

 特定の基準所得金額の課税の特例について、特例対象者を個人でその者のその年分の基準所得金額が3億3,000万円を超える者から1億6,500 万円を超える者に引き下げられます。さらに、適用税率が22.5%から30%に引き上げられます。令和9年分以後の所得税について適用されます。この制度の趣旨は、分離課税が適用される所得について、一定金額を超える部分について、高い税率を課すことです。

 令和7年分では基準所得金額が3億3,000万円とされており、実質10億円程度の所得の人が対象になると言われていました。今回の改正の基準所得金額1億6,500万円だと、所得金額で3.4億円弱のM&Aや退職金の場合でも適用になりそうな水準です。

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