税務最新情報

2019年07月22日号 (第342)

改正民法の施行がスタート

 みなさん、こんにちは、参議院選挙も終わり、次のイベントは消費税の増税といった雰囲気でしょうか。景気の先行きも不透明で雲行きが心配です。

 さて、今回は、昨年改正された民法ですが、施行時期にバラつきがあるものの、原則として今年の日から施行ということで、税に関係する部分をピックアップしてご紹介していきます。

◆配偶者短期居住権

 令和2年4月1日から施行となりますが、最も注目度の高い改正です。被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合、遺産分割又は遺贈により「配偶者居住権」を取得することが可能です。これは、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利です。

 もう少し具体的に言うと、被相続人は建物の所有権を子に、配偶者居住権を妻に相続させることが可能になります。この場合、一次相続で子は配偶者居住権部分を控除した部分に対しての相続税が課税されますが、二次相続の段階では配偶者居住権は相続財産とはならないため、二次相続でも相続税が課税されるような場合は、税務上も有利に働く可能性があります。

◆遺産分割前に預金の払い戻しが可能に

 令和元年7月から施行される改正です。従来は相続があったことを金融機関が把握すると、遺産分割が終了するまで預金の払い戻しができませんでした。例えば、事業主に相続が生じた場合などには、買掛金の支払いなどの資金も被相続人の預金を引き出せず、相続人が立て替える必要があるなどの事態が起こっていました。もっと、身近な話としては、葬儀費用が急に用意できないなどのケースなども考えられました。

 昨年の改正で、預貯金の3分の1に法定相続分を乗じた金額(一金融機関150万円を上限)までは、相続人が単独で預金の払い戻しを行うことが可能となりました。例えば、1,200万円の預金があり、妻と子が相続人であれば、1,200万円×1/3×1/2で200万円ですが、一金融機関150万円の上限なので、150万円までは単独で払い戻せることになりました。算式の1/3の方はルールなので常に一定、1/2の方は法定相続分なので相続人の数が多いと払い戻し可能な金額は小さくなっていきます。

 ちなみに、150万円では足りないと言う場合には、家庭裁判所への申し立てが必要となり、急にハードルが高くなってしまいます。現実的には、預金の一部について分割協議を行うのがスムーズでしょう。

◆自筆遺言の財産目録は自署不要に!

 自筆遺言について、従来は全部について自筆であることが要件とされていました。ところが、財産目録をパソコンで作って、署名押印する形でOKになりました。全部について自筆という部分が実務上は、とても重い負担であったことを考えると画期的な改正です。こちらの改正については、平成31年1月から施行されています。

 さらに令和2年7月からは、自筆遺言を法務局で保管してもらえる制度がスタートします。遺言書があったはずだけれど見つからないというケースはありがちで、非常に有効な制度です。法務局で外形的なチェックはしてもらえますし、公正証書の場合に必要となる二人の証人も不要です。さらには公証人の手数料も不要ですから、非常に利用しやすい制度です。

◆遺留分減殺請求権の金銭債権化

 遺留分減殺請求が行われると、従来は物権として扱われてきました。相続財産で不動産があり、その4分の1について遺留分減殺請求が行われると、その不動産の4分の1について持分を戻すというような考え方でした。

 ただし、このような捉え方は、不動産の共有化、権利の複雑化につながり将来に問題を先送りすることになるため、物件ではなく金銭債権として取り扱うことになりました。上記の場合であれば、4分の1の価格について金銭的な請求権が発生するという形になります。この改正も今年の7月から施行されます。

 この改正を受けて、金銭的な支払ではなく物で渡した場合には、「消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる」という所得税の通達が公表されたので、遺留分減殺請求に対して譲渡所得税が課税される可能性がある点に注意が必要です。

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