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2026年09月10日号 (第587)

食料品の消費税率1%が与える影響

 みなさん、こんにちは。今年は例年に比べて猛暑日が少なく、過ごしやすい日が多かったように思います。一方で、地震や大雨の災害が相次ぎ、被災された方々のご苦労を思わずにはいられません。

 今日は、食料品の消費税率1%が与える影響について考えてみます。

農家への支援の記事から読み取る施策の方向性

 令和8年9月2日の日本経済新聞に「食料品の消費減税、農家らの税理士費用を支援 売上高で給付も検討」という記事がありました。

 まだ検討中で詳細は不明ですが、税理士費用の支援は確定申告時期に、農協などを通じて無料相談の場を設けることが想定されます。売上高での給付は、税率引下げに伴う収入減少と、小規模農家が原則課税で申告した場合の還付相当額の補填が想定されます。

 しかし、同様の問題は免税事業者である小規模な食品小売店や、農業特例と同様の制度が存在する漁業などでも生じるため、支援の対象がどこまで広がるのかは気になるところです。

給付金額の計算構造

 これまで免税事業者は、売上に消費税を上乗せして受け取りながら納税義務を負わないため、いわば益税を享受できる立場にありました。しかし食料品の税率が1%まで下がる一方、種苗や農薬など仕入側の税率は10%のまま据え置かれるため、免税のままでは売上で受け取る消費税(1%分)より仕入で支払う消費税(10%分)の方が大きくなり、差額は事業者の負担として残ります。つまり今回の改正は、免税事業者にとって「何もしなければ守られる」制度から「申告しなければ損をする」制度への転換を意味します。

 収入減少額は、下記の算式で試算できます。

収入減少額=過去の収入金額-過去の収入金額÷108×101

 原則課税で申告した場合の還付相当額は、下記の算式で試算できます(108は現行の軽減税率8%、101は改正後の1%、110は仕入側の標準税率10%に対応します)。

還付金額=消費税がかかる経費額×10÷110-収入金額×1÷101

 農家であれば、種苗、たい肥、農薬散布などの費用が想定できます。売上高101万円、費用合計22万円という設例に当てはめると、還付金額は1万円になります。

還付金額1万円=22万円×10÷110-101万円×1÷101

 本来、消費税の還付を受けるには、例えば令和9年分なら令和8年までに課税事業者選択や簡易課税の取りやめなどの事前申請が必要で、対象年度には帳簿とインボイスの保存に基づく計算も必要です。少額な還付であれば、本来の手続よりも、過去の収入金額と平均的な経費率を元にした給付制度に組み込む方が合理的かもしれません。

給付だけではカバーできないケースも想定

 小規模事業者向けには給付制度の方が簡単ですが、農機具を購入した場合など、原則課税を選択した方が明らかに有利になるケースもあります。こうした場合に備え、通常の申告に加え、届出書の提出期限の緩和や税理士を利用した税務支援などの道筋も用意しておく必要があります。

 

 消費税導入当初は、物品税の反省もあり3%の単一税率で広く薄く課税し、経済に影響を与えない中立的な税制とされていました。今回の食料品の軽減税率や給付金による支援策を見ると、単一税率という当初の制度設計とは、かなり異なる姿になってきています。

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