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2026年08月20日号 (第585)

関連者間取引に係る書類の整理保存の特例

 みなさん、こんにちは。昨年、一昨年に比べると猛暑日が少なく、比較的穏やかな夏というのが現時点での状況ですが、それでも蒸し暑く快適とは言えません。健康に留意していきましょう。

 さて今回は、令和8年6月30日に国税庁から「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例の運用に当たっての基本的な考え方及び取扱いについて(事務運営指針)」が公表されたので、この制度についてご紹介していきます。

概要

 令和8年度税制改正により、関連者との一定の取引について、取引内容などを明らかにする書類を整理・保存する取扱いが設けられました。かみ砕くと、親子会社や兄弟会社など関係会社との取引に関する取扱いとなります。

 「関係会社との取引なら、細かな資料をたくさん作らなければならないのか」と心配される経営者の方もいるかもしれません。しかし今回の制度は、関係会社との取引価格が高いか安いかを判定するためのものではありません。

 ポイントは、「何の取引なのか」「その対価はいくらなのか」が、契約書や請求書などから分かるようになっているかということです。

具体的な記載内容の検討

 例えば、親会社がグループ全体の経理、人事、システム管理などを行い、その費用を子会社などに負担させる、いわゆる「シェアードコスト」の配賦が典型的なケースです。

 この場合、「業務委託料 月額100万円」とだけ記載されていて、それが経理業務なのか、人事業務なのか、システム管理なのか分からないのであれば、取引の内容が分かるようにしておく必要があります。

 一方、「経理業務委託料 月額30万円」「システム利用料 1ライセンス当たり年間3万円」など、何に対する支払いなのか、いくら支払うのかが明確になっていれば、基本的にはその契約内容が分かる書類を保存しておけばよいと考えられます。

金額の妥当性ではなく、取引内容等が資料から分かるかがポイント

 今回の制度は、関係会社との取引価格が適正かどうかを判断するための制度ではありません。例えば、親会社から子会社への経営指導料が月額100万円で「高すぎるのではないか」という問題があれば、それは別途、法人税法上の行為計算否認や寄附金などの問題として検討することになります。今回の書類保存の制度とは切り分けて考える必要があります。

 同様に、親会社が所有するビルの一部を子会社に貸している場合も、賃貸借契約として「賃料月額○○万円」と明確になっていれば、賃料の妥当性を証明するために、毎年、不動産鑑定や周辺相場の書類を作成しなければならないという話ではありません。

 なお、「調査担当者の求めに応じて、当該内国法人が関連者から、当該書類等に記載等がある事項のうち特定事項記載書類に記載すべきものを遅滞なく入手し、当該事項を提示することができると認められるときは、当該内国法人の納税地等において特定事項記載書類の保存等がなされているものとして取り扱う」と運営指針にも記載されており、常識的な関係会社間取引では問題にならないと考えられます。

 ただし、請求書もあり支払いの事実もあるものの、取引内容を明らかにできない場合は、青色申告取消に繋がる可能性があるという、厳しい結果もあり得ます。

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