税務最新情報

2026年08月10日号 (第584)

食料品の消費税率1%への対応

 みなさん、こんにちは。食品の消費税率が1%への引き下げに向けて、動き出しました。先月30日に、2027年4月より2年間限定で税率を8%から1%に引き下げる方針が、政府より正式に表明されています。まだ法案は成立しておらず、今後の国会審議で内容が変わる可能性はありますが、対応について予習していきます。

食品の範囲と税率変更前後の処理

 食料品の税率が変更になりますが、既に軽減税率が適用されており、国税庁は食品の内容について具体的に明確にしています。詳しくは下記のQAを見てください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_mokuji.htm

 実務上、現状においては一般税率と2%の差なので大きな影響はなかったものの、税率差が9%になることで「一体資産」の利用場面が増えるかもしれません。しかも2年間限定の措置であるため、2027年4月の引き下げと2年後の8%への復帰という2度の税率変更への対応が必要になる点にも注意が必要です。

 税率が変わるタイミングでの経過措置についても、過去の税率変更の際の経過措置と概ね同じような取扱いになることが予想されます。

食品の税率が1%になることでの実務的な影響

①簡易課税の利用の検討

 飲食店の場合、飲食サービスの税率が10%、食材の仕入れの税率が1%となるので、原則課税を利用していると納税額が増加することになります。簡易課税の検討を行う必要があります。

②原則課税の利用の検討

 農家、食料品スーパーなどでは、売上に係る消費税率が下がることで、課税仕入れに係る消費税のウエイトが増加する傾向があります。農家の場合、種苗の仕入れ、農薬の散布、農機具の購入などは10%の税率となるため、原則課税を利用することで税額が小さくなる。あるいは還付になることが考えられます。また、食料品スーパーや食品小売りでは、食品の仕入れについては税率が1%になるものの、家賃や水道光熱費、設備投資などの仕入れ税率は10%となることで、原則課税の適用により、納税額が小さくなるケースや還付になるケースが考えらえます。

③課税事業者の選択

 農家の場合は免税事業者というケースが多いと思います。しかし、食料品が1%になることで、敢えて課税事業者となり、経費に関する仕入税額控除によって、還付を受けられる可能性があります。

 ただしこれらの変更は、本来は事業年度が始まる前に届出が必要です。今回は政策として急遽変更されるので、進行年度での届出が認められる措置などが期待されます。

農業特例を利用しているケースの波及的な効果を検討

 インボイス制度が導入されていますが、農業特例と呼ばれる制度があり、農協・漁協を通じて農家から仕入れる場合、農家自身が「インボイス発行事業者」でなくても、農協が発行する精算書があれば、食料品なら現行8%の税額控除が可能です。

 食品が1%になることで、購入側は1%しか仕入税額控除が受けられないのは当然の帰結ですが、取引価額が不変であれば購入者が損をしてしまう構造になります。一方、食料品の税率が下がったことで取引価格を消費税分減額する場合、納品していた免税事業者である農家の売上額が小さくなることになります。

 

 今回の改正について、法律的な方向性の見極めはつくのですが、その波及的な影響が見えにくい部分があります。

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