税務最新情報
2026年06月01日号 (第577)
クラウドとAIと会計・税務業務
みなさん、こんにちは。6月になりました。住民税の特別徴収ですが、新しい年度のものが届いているはずです。全従業員分が揃っているか確認し、給与支払い時に混乱が起きないように気をつけましょう。
今回は、クラウド系の財務会計ソフトが銀行口座と連携できていないなどの報道があったので、クラウドとAIと会計・税務業務についてご紹介していきます。
クラウド系ソフトのメリットとデメリット
私もクラウド系の会計ソフトを2種類ほど利用しています。ソフトによって多少操作性の癖がありますが、各メーカーが売りにしているのは、銀行口座やクレジットカード情報との自動連携です。銀行での取引が多い場合は非常に有効です。単純に銀行口座のデータを取り込むだけでなく、AIの技術を使って完成度の高い仕訳まで行ってくれます。ソフト側で、取り込んだ銀行データの残高情報なども保有しているので、誤った処理で会計ソフト上の残高を動かしてしまった場合などの確認作業まで、ソフト上で行えます。
また銀行口座だけでなく、請求書発行業務から売上データ、給与計算ソフトから給与データも、普通に業務を行っていると会計データへ繋がる仕組みとなっており、単純な会計業務としては非常に合理化が進みます。
一方で、問題がないわけではありません。クレジットカードの残高や現金残高がマイナスになるなど、自動で数字が作られていくので、ある程度手をかけないと収拾がつかない状況になることがあります。また、銀行口座と連携するといっても、現実には手数料分の控除や、出金の内容を複数に分解する必要があるなど、入金額・出金額がそのまま会計データとはならないので、全自動というわけではありません。取り込まれたデータを正しい仕訳に訂正することが必須となります。
さらに、最近クラウド会計のソフトが銀行と連携しない報道がなされていましたが、そのようなトラブルが起きてしまうと会社側での対応ができなくなります。また、国税のe-Taxが確定申告の期限直前で繋がりにくくなるとか、地方税のeLTAXが給与支払報告書の提出期限直前に繋がりにくくなるなど、ネットワーク上の問題が生じるリスクがあります。
AIと税務
会計業務の自動化でもAIが活躍していますが、税務に関してはそれ以上にAIの利用可能性が高いと言えます。一般的な税務の質問であれば、AIに相談すればある程度の回答が期待できますし、わかりにくいと思えば何度でも質問できます。
一方で、AIはインターネット上の情報に基づき回答を導き出すので、古い情報に影響を受けることがあります。例えば昨年の10月ごろ、クライアントに年末調整の案内をする為に案内文の作成を依頼したところ、「定額減税」が一番の注意点とすでに終わっているはずの制度について案内文を作ってきました。一般的な内容でも、最新の情報については少し弱い部分があります。
そして少し個別的な問題になってくると、AIは間違った答えを出してくるケースが増えます。根拠となった条文、通達、国税庁のサイトまで確認して裏付けを取らないと信用できません。根拠条文に関しては、それなりの確率で間違ったものを提示してきます。
数年先には状況が変わると思いますが、現状はAIを税務で利用するなら裏付けを取りながら利用するか、答えがわかっているものの確認用に使うという使い方になります。
なお、税務業務におけるデータの加工、集計、チェック作業などは、AIが不可欠と言えるくらい非常に便利なツールとして機能しています。
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