税務最新情報
2025年12月22日号 (第561)
新聞報道から読み解く来年度税制改正
みなさん、こんにちは。執筆段階では、税制改正大綱が公表されていません。ちなみに昨年は20日公表でした。新聞報道などを元に、来年度の税制改正を予測してみます。
基礎控除等の引上げについては難航
基礎控除等の3党合意へ向けた協議については難航しているようで、執筆時点では結論が見えてきません。とりあえず、3党合意した内容に向けて努力していくとのことです。
基礎控除の引上げとバーターになるかもしれませんが、高校生に対する扶養控除は縮小の方向になるかもしれません。この辺りは、税法をデザインする立場からすると、減税するなら代わりの財源が必要と言うことで、単純に減税と言う形にはならないかもしれません。
教育資金贈与は終了か?
わりと早い段階から新聞報道されていますが、1,500万円までの教育資金贈与制度は、終了の方向です。現在の法律が令和8年3月31日までの特例として規定されており、延長しない形になれば、来年3月までの贈与は特例が使えて、それ以降は使えないということになりそうです。
この件については実際に納税者から問い合わせがありましたので、来年の3月までの駆け込みの利用が増えるのではないでしょうか。「贈与できる余裕資金が、制度の上限額の1,500万円に満たないので利用を待っていたが、制度が終わるのなら1,000万円だけでも利用したい」などのニーズは多いと思います。
その他の内容
上記以外で、ほぼ決定事項として報道されているのは、下記の内容です。
①食事支給に係る非課税限度額を月額3,500円から7,500円に引上げの方向です。非課税限度額が3,500円になったのは昭和59年の税制改正で、実に40年以上変化がなかった部分です。最近の物価高の影響で、もう無理との声があがっていました。
②NISA制度で、つみたて枠を18歳未満にも解禁する方向です。年間60万円までの投資額で、上限600万円までとなりそうです。
③少額減価償却資産の特例については、延長の方向です。中小企業は従来通り30万円未満の減価償却資産については、全額損金にできる見込みです。
④ふるさと納税に控除制限を設ける予定です。金額としては給与収入で1億円となりそうです。高所得者優遇と批判されていることへの対応です。
⑤事業承継税制関係で、特例承継計画等の提出期限が延長される見込みです。
⑥消費税については、海外とのEC取引(電子商取引)に関しての見直しが行われます。詳細が見えていませんが、現在、役務提供に対して適用されるプラットフォーム課税を拡張する形かも知れません。
過去10年の大綱の公表の日程を調べると、12月8日が最も早く、12月10日が2回、12月14日が3回と、普通なら公表されていても良い時期なのですが・・・さて、いつ公表されるのでしょうか。
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