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2025年09月22日号 (第552)
今年の年末調整は要注意
みなさん、こんにちわ。まだ9月ですが、国税庁から「令和7年分年末調整のしかた」が公表されています。少し早いですが、今年の年末調整に向けた注意点をお伝えします。
通勤手当に係る非課税限度額の改正に要注意
国税庁が公表した「年末調整のしかた」の表紙には、赤文字で「通勤手当に係る非課税限度額の改正」と記載されています。人事院勧告により、今年の4月1日以降の自動車通勤者などに対する通勤手当の額の引上げが勧告されました。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm
詳細な金額は執筆時点では不明ですが、年末調整のしかたの表紙に赤字で記載されていることから、ほぼ間違いなく4月1日にさかのぼって非課税限度額の改正が行われると思われます。
通常、非課税限度額は給与計算の際、非課税分と課税分を区別して入力します。多くの給与計算ソフトでは、過去にさかのぼって自動的に再計算する仕組みにはなっていません。自動車などで通勤する従業員に交通費を支給している場合は、今年の4月以降に支給した課税通勤費を事前に抽出し、課税分から非課税分へ変更可能な金額を計算しやすくしておくなど準備が必要です。
基礎控除等の見直し等
以下も年末調整のしかたの表紙に記載されている内容ですが、令和7年度税制改正で大きな変更があった部分です。
▶「基礎控除」や「給与所得控除」の見直し ▶「扶養親族等の所得要件」の改正 ▶「特定親族特別控除」の創設 |
年末調整システムを利用していれば、基礎控除や給与所得控除の変更は自動で計算されるため問題はないでしょう。しかし、年末調整を手計算で行っている場合には注意が必要です。基礎控除は2年間の特例措置として、収入金額に応じて95万円から58万円に変動します。長年実務を行っている方には違和感があるかもしれませんが、多くの人が10万円以上の引上げとなります。
多くのシステムでは、配偶者や特定親族の年間収入金額を入力する必要があります。給与を月末締め・翌10日払いとしている会社では、12月10日までに年末調整を完了させる場合がありますが、この場合、提出された書類に記載された配偶者や特定親族の収入が、年末時点で正確に確定していない可能性があります。
配偶者特別控除や特定親族特別控除は、収入金額がわずか3万円変わるだけでも控除額に影響を与える場合があります。年末調整書類提出後に収入金額が変更になった場合は、再計算が必要になるため、従業員への周知徹底が重要です。
今年の年末調整は、例年に比べて混乱が起きる可能性が高いでしょう。①非課税通勤手当は、事前に準備が可能です。②扶養親族の収入上限は、事前に改正内容を周知することが重要です。早めの情報収集と準備で、年末調整のトラブルを未然に防ぎましょう。
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