税務最新情報
2022年10月11日号 (第447)
ふるさと納税の季節です!
みなさん、こんにちは。今年も残すところ3か月を切っています。この時期になると、クライアントとのコミュニケーションでは、ふるさと納税の話題が多くなります。
ふるさと納税は節税ではないメリット
ふるさと納税を「節税」と思い浮かべる方がいらっしゃいますが、実際には節税ではありません。どれだけ有利に使っても、税金が控除される限度額は寄付した金額より2,000円少ない金額です。金銭負担で言えば、必ず2,000円は損する仕組みです。
何が魅力かというと、2,000円の負担でそれ以上の価値のある返礼品がもらえる可能性があることです。「さとふる」、「ふるなび」、「ふるさとチョイス」などのサイトでは、欲しい品物から寄付先を検索できるサービスがあります。肉や米、果物、お酒などから欲しい返礼品を選ぶと、それらを返礼品として用意している自治体が検索され、クレジットカードで寄付までできてしまうという仕組みになっています。ネットショッピングと比較しても面倒なことは何一つありません。つまり2,000円の自己負担はありますが、返礼品に2,000円以上の価値があれば、結果としてメリットが生じるという仕組みです。
ふるさと納税の上限額
ふるさと納税をいくらまですれば損をしないかとの質問がよくあります。細かい話をすると、下記の3つを検討する必要があります。
制度の種類 | 控除方法 | 控除額の計算 | 寄付金額の上限額 |
---|---|---|---|
所得税寄付金控除 | 所得控除 | (寄附金額-2千円)×所得税の税率×1.021 | 総所得金額の40% |
住民税基本控除 | 税額控除 | (寄附金額-2千円)×10% | 総所得金額の30% |
住民税特別控除 | 税額控除 | (寄附金額-2千円)×(90%-所得税の税率×1.021) | 控除額が住民税所得割額の20% |
いずれにしても所得税の税率がわからないと計算ができないので、年間の所得金額を予想する必要があります。また計算式に住民税所得税割額が登場するので、各種控除額が明らかにならないと正確な計算はできません。
冒頭で紹介したふるさと納税のサイトなどで上限額の計算ができますので、そちらで計算することをおすすめします。サイトによっては上場株式の譲渡と非上場株式の譲渡がある場合などにも対応しており、かなり具体的な計算が行えます。
返礼品に税金はかからないの?
ふるさと納税を利用した場合に、実質2,000円の負担で2,000円を超える返礼品を受け取れる場合があります。その場合に、返礼品に税金がかかるのかという問題があります。
ふるさと納税の返礼品の受け取りは、所得税法上は一時所得に該当します。一時所得は50万円の控除額があるので、返礼品の原価の合計が50万円までは税金がかからないことになります。返礼品については、原価が寄付額の30%以内にしなければいけないという通達があるので、ざっくり計算するのであれば寄付額の30%が返礼品の原価と考えることができます。50万円を30%で割り返すと166万円なので、年間166万円を超えて寄付をした場合は、一時所得が課税される可能性があります。
ちなみに、自己負担金額2,000円で166万円以上の寄付ができる方は、給与収入で4,400万円を超える場合の方に限られますので、あまり気にする必要はないかもしれません。
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