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2022年06月20日号 (第436)

実務目線で見たインボイス制度の問題点6

 みなさん、こんにちは、源泉税の納期の特例を利用している場合は納期限が7月10日です。そろそろ、準備をはじめましょう。源泉税は納期限に遅れると、不納付加算税がかかるので注意が必要です。

 今回からは、国税庁QAの中で、見落としやすいけれど重要な論点についてご紹介していきます。

インボイス無しで税額控除が認められる例外

 インボイス制度が導入された後に、通常はインボイスがない場合は仕入税額控除ができないのですが、一定の場合に帳簿のみの記載で仕入税額控除が認められています。まずは、国税庁QA問88を参照してください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=121

 この中で、少し注意が必要なのは、下記の部分です。

③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入

④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得

⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入

適格請求書発行事業者でない者からの再生資源又は再生部品の購入

 上記のように、一般消費者から仕入れを行う業態には、帳簿のみの保存で、仕入税額控除を認めています。ただし、適格請求書発行事業者でない者からのという限定付きです。例えば宅建業者が中古のマンションを取得する場合には、相手がインボイスを発行する事業者の場合はインボイスの保存が必要になるという点です。上記の4つについては、すべての取引について、インボイスが不要とならない点は落とし穴となります。

帳簿への記載事項

 同じQAで、帳簿への記載事項として下記のとおりとなっています。

この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。

・ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨

 例:①に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」

   ②に該当する場合、「入場券等」

・ 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)

 上記の中で、仕入れの相手方の住所又は所在地について、一定の者を除くとしています。

 例えば、古物営業法では古物台帳の記載を義務付けています。一方で、例外品に該当しない場合は、売買価格が1万円未満の場合は古物台帳への記載が免除されています。このように、古物営業法で記帳が免除されているものについて、改めて住所を記載させるような取扱いにはなっていません。

 ただし、課税仕入を行った相手方の氏名又は名称については、古物台帳への記載は免除されていても、消費税の税額控除の要件として必要となるので氏名又は名称については確認が必要となります。

 なんとなく業種としてインボイスが不要と安堵されているケースがありますが、意外と細かな取扱いとなっているので気をつけましょう。

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