税務最新情報

2020年10月12日号 (第375)

税務調査で確認される消耗品費

 みなさん、こんにちは、前回、税務調査を新たに着手していないという原稿を書いたところ、10月1日から新たに調査に着手したいと連絡があったという話を同業者から聞きました。全国的な動きなのかは不明ですが、新たな動きはあるようです。

 今回は、前回に続き税務調査がらみの論点で、消耗品費についてどのように判断するのかについてご紹介していきます。

消耗品費勘定についてどのような視点で確認するか

 税務調査において、消耗品勘定について、一定以上の金額のものについて、請求書の確認などが行われることがよくあります。その趣旨とするところは、資産計上しなければならないものが紛れていないか否か、仕入れに含まれるものが紛れていないかなどの確認です。

 金額の目安とすれば、10万円以上のものが含まれているか否かなのですが、実務で面倒なのは、数万円程度の工具を複数購入すれば、合計金額が10万円以上になってしまう点です。製造業、建設業などでは、備品一個あたりの金額が少額でも月ごとでの請求金額が10万円以上となることが日常的で、本当に1個あたりの金額が10万円を超えるか否かは請求書の明細を確認しないと明らかではありません。頻繁に10万円以上の工具や備品の購入をしているのであれば注意して確認しますが、数年に一度10万円以上の工具や備品の購入があるという場合は、通常の処理として請求先の名称だけで消耗品費として処理しがちです。

 また、パソコンなどでは、本体とモニターを別に購入するケースなどありますが、一つのパソコンとして利用する場合は、合算した金額で判定する必要があります。実務では、モニターは以前のものをそのまま利用するケースも多く、本体だけの請求書であっても違和感はありません。事後的に、一連の請求書を確認すれば明らかになりますが、月次で判断していると見落としがちな論点です。

◆制度的な落とし穴

 税法上、一括償却資産と、少額減価償却資産という制度があります。一括償却資産は、20万円未満の固定資産で、単純に3年間で償却してよいという制度です。少額減価償却資産は、中小企業に認められる特例で30万円未満の固定資産については全額を損金として処理することができる制度です。ただし、1事業年度当たり300万円までが上限となっています。

 また、平成10年3月までは、20万円未満のものを消耗品費として損金処理できました。この古い制度と、一括償却資産の20万円が話を混乱させている原因の一つです。一括償却資産は、資産として個別の管理が不要という意味で「一括償却資産」という名称なのですが、一括で損金処理できるとの誤解が多いようです。

 さらに、少額減価償却資産で30万円まで損金でOKとなるのは、一定の別表の記載が必要となります。30万円未満なら大丈夫との認識で費用処理してしまって、税理士に伝えなかったため、別表が記載漏れとなり、正規の手続きをしていれば損金処理が可能だったものが、手続きの漏れで損金とならないケースも起こりがちです。


 上記のように悪意がなくてもミスが起こりやすいのが消耗品費での間違いです。とにかく、10万円以上のものを購入した場合は、税理士に一言伝えるのがよいでしょう。

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