税務最新情報

2019年04月10日号 (第342)

消費税率引上げに向けた経過措置

 みなさん、こんにちは、新元号が令和に決まりました。コンピュータのソフト業、印刷業などは、特需となりそうです。また、話は変わりますが、今年の12月23日は祝日ではないのですね。意外なところに影響が及ぶなと感じました。

 さて、今回は消費税率引上げ・軽減税率・インボイス制度への流れの中で、消費税率引上げに関する経過措置のご紹介です。

◆用語の確認

 消費税率の引上げとなるのが、令和元年(2019年)10月1日です。消費税率引上げ、軽減税率制度の「施行日」といいます。また、その半年前の平成31年(2019年)4月1日を、「基準日」という言い方をします。契約が行われた日付が基準日より前か後かで、適用される消費税率が変わる場合があります。下記の説明で平成31年4月1日が登場するのは、指定日として定められているからです。

 また、経過措置というのは、本来は施行日以降の取引は、新税率の10%となるのが通常ですが、一定の条件を満たす場合に旧税率である8%が適用される取引をいいます。なお、経過措置は、会社が選択して適用するのではなく、要件を満たす場合は適用されます。

◆経過措置の具体的な内容

① 旅客運賃


 令和元年10月1日以後に行う旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料金等のうち、令和元年10月1日の前日までの間に領収しているものは、経過措置が適用され旧税率となります。

 前売りチケット購入済みの人から、追加料金を徴収することが現実的ではないためこのような取扱いとなっています。

② 電気料金等


 継続供給契約に基づき、令和元年10月1日前から継続して供給している電気、ガス、水道、電話、灯油に係る料金等で、令和元年10月1日から令和元年10月31日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するものは、旧税率が適用されます。

 令和元年9月末に、すべての取引先の検針を行うことが不可能であることに配慮した取扱いです。

③ 請負工事等


 平成31年4月1日の前日までの間に締結した請負契約等に基づき、令和元年10月1日以後に課税資産の譲渡等を行う場合には旧税率が適用されます。

 建設工事や、ソフトウェアの開発など、発注から納期まで長期間かかるような取引については、完成引渡しの時期が前後してしまうことで税率が変更してしまうことは、当事者にとって金額的に大きな影響を与えることになります。そこで、平成31年3月までの契約については、引き渡しが令和元年10月以降でも旧税率が適用される取扱いとなっています。適用範囲は、広いので実務では非常に該当する事例が多くあります。

④ 資産の貸付け


 平成31年4月1日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、令和元年10月1日前から同日以後引き続き貸付けを行っている場合で、一定の条件を満たす場合は、令和元年10月1日以後に行う資産の貸付けについても、旧税率が適用されます。

 具体的には、不動産の賃貸契約やコピー機などのリース契約で該当する場合があります。実務としては、借りる側は請求書を確認しながら税率を判定することになりますが、請求書を発行する側は経過措置の要件を満たすか否か慎重に判断する必要があります。

⑤ 予約販売に係る書籍等


 平成31年4月1日の前日までに締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品に係る対価を令和元年10月1日前に領収している場合で、その譲渡が令和元年10月1日以後に行われるものについて、旧税率が適用されます。

 順次刊行される書籍の予約販売などの場合、予約から刊行まで長期間となる場合があるので、平成31年3月までに申し込みがあり、令和元年9月まで支払いのものについては、刊行が令和元年10月以降でも、従来の金額で取り扱うという趣旨です。

⑥ 通信販売


 通信販売の方法により商品を販売する事業者が、平成31年4月1日の前日までにその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、令和元年10月1日前に申込みを受け、提示した条件に従って令和元年10月1日以後に行われる商品の販売は旧税率となります。

 8%引上げ時には、パソコンのネット販売など、この経過措置を利用した取引が多くありました。販売側は、経過措置を適用できることを売りにビジネスにしています。購入者側は、請求書で税率の確認を行うことで、適用の誤りをなくす必要があります。

 

 上記以外にも、指定役務の提供、特定新聞、有料老人ホーム、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化、リース譲渡にかかる資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合などの経過措置があります。より細かな内容を確認したい場合は、下記をご覧ください。

●平成31年(2019年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される
  消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A(国税庁消費税室)

【具体的事例編】(PDFデータ)

【基本的な考え方編】(PDFデータ)

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