税務最新情報

2019年03月11日号 (第389)

法人版事業承継税制の変更点

 みなさん、こんにちは、確定申告期限が迫っています。確定申告が必要なのに、忘れているケースとして、給料をか所からもらっているケースなどが多いようです。税務署から連絡が来て、過去年分の期限後申告となってしまうと、かなり負担が大きくなるケースもあります。今一度、確定申告が必要か否かについてご検討ください。

 さて、今回は、平成31年度税制改正で、法人版の事業承継税制の修正事項についてご紹介していきます。

◆資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合の見直し

 事業承継税制を適用した場合に、その会社の純資産に占める特定資産の割合が70%以上である資産保有型会社、売上に占める特定資産の運用収入の割合が75%以上である資産運用型会社に該当してしまうと、納税猶予が取り消されてしまいます。

 特定資産は、有価証券や、自社で利用していない不動産、預貯金などで、個人の財産を法人に所有させることで、事業承継税制を租税回避に使用することができないようにするための措置です。一方で、普通に事業活動をしていて、結果として預貯金の割合が高くなった場合にまで、規制する必要はないため、①従業員が勤務する事務所があり、②後継者と生計が一でない従業員が人以上いて、③商品の販売、後継者グループ以外への資産の貸付、役務提供などを年以上継続している場合の要件を満たす場合は、取消事由に該当しないという取り扱いがあります。

 今年の改正点は、一定のやむを得ない事情により資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合に、か月以内に該当しない状態にもどった場合は、納税猶予の取消事由に該当しないこととしました。従来は、瞬間的に該当する場合でも、取消になるということで、条件として厳しすぎるとされていた部分の改正であり、より事業承継税制が利用しやすくなります。

◆相続時精算課税との関係

 平成29年度税制改正により、相続時精算課税と事業承継税制が併用できるようになりました。相続時精算課税と事業承継税制を併用した場合に、1代目から2代目、さらに3代目と事業承継が進んでいる状態で、相続時精算課税と事業承継税制(贈与による納税猶予)、それぞれに「みなし相続規定」が存在することから調整規定がおかれていました。この調整規定がなければ、猶予税額が免除されたあとに、相続時精算課税のみなし相続財産として再度課税される問題が生じてしまいます。

 一方で、猶予税額の免除を受けた場合には、免除部分は納税をしていないにも関わらず、調整規定が機能してしまうという問題が注目されるようになりました。

 平成31年度税制改正では、相続時精算課税と事業承継税制のみなし相続財産に関する調整規定について、猶予税額の免除を受けた場合には、それに対応する相続時精算課税のみなし相続規定を適用しないことと変更しました。

 

 

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