税務最新情報

2018年09月10日号 (第371)

軽減税率と外食との微妙な関係

 みなさん、こんにちは、大雨があったり、大きな台風が来たりと、自然災害が続く年です。気温の高さなども含め、自分が子供の時代とは気象環境そのものが変化しているのを感じます。

 さて、今回は軽減税率の話題で、外食か微妙な線引きになる取り扱いについてご紹介します。

◆食品から除かれる外食の判定の難しさ

 前回、軽減税率の対象についてご紹介して、飲食料品が軽減税率の対象で、ただし酒類、外食、ケータリングは軽減税率の対象から外れるという内容でした。

 軽減税率が導入されることが決まる以前、国税庁主税局出身の学者さんや、国税庁の方の研修会で、軽減税率については「制度としての問題」があるという話をされていました。諸外国の例として、次のような事例が紹介されていました。

①イギリスでは、ハンバーガー屋さんに行くと、持ち帰り品は食品として軽減税率になるので、レジでお客さんは持ち帰りと申告する。そして、代金を支払った後、店内で飲食を行う。逆に、店内で食べると申告する人はほとんどいない。

②カナダでは、ドーナツ屋さんでドーナツを6個以上買うと軽減税率だそうです。そこで、お客さん2人か3人で、軽減税率が適用される6個以上をまとめて購入して、その後に分ける。

 

 当時は、日本で軽減税率の導入が決まる前でしたが、上記のような軽減税率を外す行為が、公然に行われ、それを防ぐ手段がいろいろと講じられているようですが、なかなか難しいとのことでした。この点についても国税庁のQ&Aが公表済みですのでご紹介します。

◆ファーストフード店の取扱い

 ハンバーガーを購入してテイクアウトという問題ですが、日本でも同じ結論になってしまいそうです。国税庁のQ&Aは次のとおりです。

問42 ファストフード店において、「テイクアウト」かどうかは、どのように判断するのですか。

【答】

 軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食店営業等を営む者が飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいますが、いわゆる「テイクアウト」など、「飲食料品を、持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡」(以下「持ち帰り」といいます。)は、これに含まないものとされています。(改正法附則34①-イ)

 事業者が行う飲食料品の提供が、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」に該当するのかは、その飲食料品の提供を行った時において、例えば、その飲食料品について、その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定していただくことになります。(軽減通達 11)

 レジで精算の際に、お客さんに確認を取る方法により、軽減税率か否かの判定を行うことになります。持ち帰りと言ったお客さんが、その後どうするかまでは、売る側とするとコントロールのしようがありません。

◆コンビニの取扱い

 最近、都内のコンビニでは、ほとんどの店でイートインスペースが存在します。消費税率の引上げの延期に合わせて、軽減税率の導入も延期されていますが、イートインスペースが目立つようになったのは、軽減税率の導入が決まった頃だったように思います。ショッピングセンターなどのフードコートで食品を購入、イートインスペースで食べる場合などは、外食扱いで、軽減税率の対象にはなりません。一方で、コンビニのように大部分のお客さんが持ち帰り、一部の人がイートインスペースを利用するという場合については、次のようなQ&Aが公表されています。

問41 店内にイートインペースを設置したコンビニエンスストアにおいて、ホットドッグ、から揚げ等のホットスナックや弁当の販売を行い、顧客に自由にイートインスペースを利用させていますが、この場合の弁当等の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

【答】

 イートインスペースを設置しているコンビニエンスストアにおいて、例えば、トレイや返却が必要な食器に入れて飲食料品を提供する場合などは、店内のイートインスペースで飲食させる「食事の提供」であり、軽減税率の適用対象となりません。(改正法附則34①-イ、軽減通達10(3))

 ところで、コンビニエンスストアでは、ご質問のようなホットスナックや弁当のように持ち帰ることも店内で飲食することも可能な商品を扱っており、このような商品について、店内で飲食させるか否かにかかわらず、持ち帰りの際に利用している容器等に入れて販売することがあります。このような場合には、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象となるかならないかを判定していただくこととなります。

 なお、その際、大半の商品(飲食料品)が持ち帰りであることを前提として営業しているコンビニエンスストアの場合において、全ての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問することを必要とするものではなく、例えば、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととして差し支えありません。

 申し出があった場合は、軽減税率の対象とならないわけですが、あえて申し出をする人がどのくらいいるのかが気になります。ただ、現実的な問題として、お店とお客さんがトラブルになるのも困りますから、実務としては緩やかな対応が必要になります。

 もともと、軽減税率を導入すれば、いろいろな問題が生じることは想定されていたので、このような国税庁のQ&Aは非常に参考になります。

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