税務最新情報

2018年01月05日号 (第346)

平成30年度税制改正の概要

 明けましておめでとうございます。今年最初の税務情報になります。年末年始は、ゆっくりできた方と忙しかった方と、仕事によって両極端になりやすい時期ですが、体調を崩しやすい気候ですのでご自愛ください。

 さて、今回は、年始めと言うことで、平成30年度税制改正大綱の概要について、ご説明します。詳細は、次回以降、順次ご紹介していきます。

◆法人税関係

 法人税関係の改正は大きく変更という雰囲気ではなく、所得拡大税制について仕組みを少し変更したという形です。元々3年間の時限立法で始まった制度、一度延長して既に6年間が経過します。今回の改正で、従来は、基準年度(平成24年度)と比較して増加した額の一定割合だったものが、前年に比べた増加額に対する一定割合になったので、控除額が小さくなるような傾向になります。また、条件が平均給与等支給額の増加割合になったので、少しハードルが高くなっています。

 中小企業向けの少額減価償却資産(取得価額30万円未満)の損金算入、800万円までの交際費について全額損金算入できる制度は延長されることになりました。

◆資産税関係

 事業承継税制について、従来は贈与税及び相続税について8割引の制度だったものが、10割引の制度になります。納税猶予から免除へという流れを利用することで、贈与税及び相続税の負担なしで、事業承継を実施することが可能です。この10割引の特例を利用する場合は、平成30年4月1日から平成35年3月31日までに特例承継計画を都道府県に提出して認定を受ける必要があります。

 一般社団法人や一般財団法人は、持分のない法人つまり、所有者がいない法人であることから、相続税のかからない財産を保有するために利用することが可能でした。これについて、特定の一般社団法人等の役員が死亡した場合に、相続税がかかるような仕組みに変更されます。

 小規模宅地の適用について、条件が厳格化され、従来に比べ利用できるケースが限定されることになります。ただし、普通に居住しているような場合には問題となりません。

◆所得税関係

 所得税関係は、いろいろな部分が変更になっています。給与所得控除と、公的年金控除については、一律10万円の引き下げ、給与所得控除は上限額の引き下げ、公的年金控除には上限額が設定されます。では、増税かというと、基礎控除について、一律10万円引上げる改正を行います。ただし、合計所得金額が2,400万円を超える個人については、控除額が減少していき、合計所得金額が2,500万円を超えると基礎控除がなくなる仕組みとなります。給与所得控除の上限、公的年金控除の上限、基礎控除がなくなる仕組みなど、高所得者には増税になります。一方で、そのような上限にかからない人は、給与所得控除が10万円引下げになりますが、基礎控除が10万円引上げになりますから、課税所得に影響しない形になります。

 青色申告で、正規の簿記の原則に従って記録している者に対する青色申告特別控除が65万円から55万円に引き下げられます。増税かというと、電子申告をしている場合には65万円控除を認めるということで、電子申告をしている場合は影響無しの改正となります。

◆消費税関係

 消費税率引上げが平成31年10月に控えていることもあり、小粒の改正内容でした。外国人観光客向けの輸出物品販売場制度について、免税手続きが電子化されることになり、現場での手間が大きく軽減されます。

 軽減税率引上げに向けての改正ですが、食用の農林水産物を生産する事業は第2種事業に変更になります。軽減税率の導入と同時の31年10月からの改正です。

 

 上記以外にも、細かな改正は多くありますが、上記の内容も含めて次回以降、個別にご紹介していきます。

 

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