税務最新情報

2017年10月20日号 (第339)

ほどほどの節税対策のすすめ

 みなさん、こんにちは、すっかりと肌寒い季節になりました。今年は、夏も短く早い秋という感じでしたが、いかがお過ごしですか。これから、年末は、あらゆる業種で忙しくなりますので、何事も前倒しで準備していきましょう。

 さて、今日は、最近のお客さんとの会話の中から、あるべき節税について書いていきます。たまたま、法人のお客さんと相続の案件で、結果として同じような話題がでてきたので、節税について考えてみます。

◆法人税の場合

 取引先との関係から、帝国データバンクあるいは東京商工リサーチなどで、会社の決算状況について外部の方から必要とされる会社があります。そのような会社の経営者の心理としては余分な税金も払いたくないものの、結果として、赤字は避け、一定の利益は確保するというような会社の動き方をします。節税に関しては、投資促進税制や所得拡大税制など、経営目的に一致すれば積極的に利用していくというスタンスです。

 上記のような形で、利益を出す経営を続けていくと、税負担が3割でも、利益の7割は会社に蓄積され、時間が経てば経つほど、会社の財産は大きくなっていきます。もっとも、大型の設備投資や、先行投資などがあり、資金繰りが必ずしも余裕があるとまでは言えませんが、それでも会社の規模は大きくなっていきます。

 一方で、税金を払うくらいなら、消耗品で費用処理できる買い物をする、費用処理ができる保険に入る、従業員に決算賞与を払うなど、あれこれとお金を使って、法人税の負担が生じないような動き方をする経営者の方もいらっしゃいます。

 このような場合には、会社は常に赤字を継続するので、資本金を食いつぶした後は、経営者が資金を貸し付け、事実上経営者の資金によって経営を続けるというパターンになりがちです。実際に、多くの中小法人では、累積赤字があり、経営者からの借入によって成り立っている状態といえます。

 役員報酬をバランス良く設定して、内部留保はないけれど、経営者個人でしっかりと貯蓄をされているケースもあります。しかし、役員報酬をバランス良く設定することは難しく、想像以上に利益がでそうなのでと、続けられない保険に入って税金以上の持ち出しになるケース、必要の無いものにお金を使うなど、トータルでは損をしているケースが多いように感じます。税金を払わない経営より、黒字を継続して税金を払い続ける経営の方が、ストレスがないように感じます。会社の成長を考えれば利益の積上げは必須ですが、会社を大きくすることは考えていないケースでも、無理な節税より、利益が出た場合は納税をするという自然なスタンスの方が、結果としてお金は残りストレスも少ないように感じます。

 自分が学生の頃のバイト先の所長税理士が、税は自然と言っていましたが、何十年か経って、同感だなと思えるようになってきました。

◆相続税の場合

 相続税については、贈与税の非課税の枠の活用、教育資金贈与の活用、事業承継税制など、税制上の特典を利用する節税手法と、タワーマンションやアパートの建設など投資を利用した節税手法が考えられます。

 税制上の特典を利用する場合でも、事業承継税制などでは、一定のリスクは存在しますが、概ね安全な方法と考えられます。ただ、贈与税の非課税枠などは、時間もかかりますし、大きな額の相続が予想される場合は、節税効果もそれほど大きくないという限界があります。

 タワーマンションやアパート建設など、投資を利用した節税手法は、節税以前に投資として失敗に終わるケースやアパート経営が経営として成り立たないという場合があります。アパート経営を始めて、入居率が悪い場合や、家賃保証があるはずだったのが保証額の改定で家賃収入が減少して、ローンの返済が成り行かなくて破産に至るというケースも考えられます。また、タワーマンションについては、最近の報道を見ていると、課税上のリスクも存在します。マンション経営やアパート経営については、長期間に及ぶ投資になりやすいので、先行きが読みにくいところが難点です。実際に、アパート経営で相続税を節税できているケースは数多くありますが、トータルで投資が回収できるかという視点が必要になります。また、相続財産が不動産になっているので、相続税の額そのものは低くなったものの、手持ちの現金が不足するというケースもあります。

 節税対策を全く行わないで、相続財産の殆どが現預金というケースもあります。節税対策をしていませんし、節税効果もないのですが、相続財産の殆どが現預金の場合は、そのまま納税資金となり、残りも現預金として収入的な感覚になるので精神的に負担はありません。逆に相続対策をしないで、相続財産が住んでいる家だけとか、経営していた会社の非上場株と会社で利用している不動産だけで、まとまった相続税がかかる場合などは、相続税の納税資金の確保でたいへんな苦労をします。自宅や経営していた会社の不動産の処分というのも精神的にダメージですし、借入をして支払っていくのも負担です。

 結局のところ、長期的にリスクが少なく、納税資金に困らない程度の現金が残っている状態が重要です。つまり、過度な節税でもなく、相続財産のバランスを取ることが、総合的な意味での負担軽減になります。

 

 税金の額を低く抑えることを最重要の課題にするのではなく、ストレスがない経営、苦労しない相続を目指すという意味でのバランスの良い節税が理想なのかもしれません。

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