税務最新情報
2016年10月11日号 (第303)
非課税所得について 各論2
今年は、曜日の関係で10月10日が体育の日でした。3連休を作るために月曜日を祝日にしていますが、個人的にはわかりにくくなった感じです。実際には、成人の日、海の日、敬老の日、体育の日の4日だけが移動しているのですね。
さて、今回は、非課税所得の各論の2回目です。割と多く、お客さんから質問される部分のご紹介になります。
◆給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
出張旅費や転勤の際の旅費などに対する取扱です。実費であれば、会社が負担しても、所得税が課税されることは、ありません。しかし、実費精算は煩雑であるため、旅費規程などを設けて、距離や日数に応じて手当として支給しているケースが多くあります。手当形式の場合は、実費が手当の金額内で収まれば厳密には所得が生じることになりますが、「通常必要であると認められるもの」であれば、非課税とする取扱です。
実際に、お客さんから、どのように設定すべきか?という質問を受けることがよくあります。税務調査等を考慮すると実費精算がお勧めと思うのですが、手当形式を希望されるケースがよくあります。どこまでが「通常必要であると認められるもの」に含まれるのかが悩ましいところですが、インターネットで検索すると公務員の旅費規程などが参照でき、参考になります。不相当に高額だと、税務調査の際には問題になるので、慎重に決定したいところです。
◆給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
いわゆる通勤手当です。非課税が当たり前という感覚ですが、やはり条文に根拠があるから非課税となっています。限度額については、下記のURLをご参照ください。
参照:https://www.tohoren.or.jp/taxinfo/20141104499.html
(税務情報:通勤手当の非課税限度額の引上げ)
◆給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
ちなみに政令では、船員法の規定により支給される食料、給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品、あるいは制服等の貸与を受けることによる利益、国家公務員宿舎法の規定により無料で宿舎の貸与を受けることによる利益その他給与所得を有する者でその職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するために家屋の貸与を受けることによる利益等が規定されています。
この中で、実務で問題になりやすいのは制服等の取扱です。工場内で着る作業服などで問題になることは、ほとんどありませんし、支給され、貸与されるのが一般的です。一方で、スーツなど仕事で着用するとしても、非課税として取り扱われないものもあるので、注意が必要です。この点について、国税庁のQAが公表されているので参考にしてください。
参照:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/27.htm
(国税庁HP:背広の支給による経済的利益)
また、上記の他、課税されない経済的利益について通達が公表されているので、参考にしていただければと思います。
参照:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm
(国税庁HP:給与等に係る経済的利益)
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