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2014年01月20日号 (第212)
医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度
みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。東京都知事選、注目ですね。選挙の時は、少し景気が悪くなるといいますが、読者の皆様の会社は大丈夫でしょうか。
さて、今回は、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度について、ご紹介していきます。
1.医業継続税制の概要
持分のある医療法人の出資者に相続があった場合に、その相続税の申告期限において、医療法人が認定医療法人であれば、相続により取得した出資持分に係る相続税が移行計画の期間終了時まで猶予される制度です。
また、移行期間中に、相続人が持分の全てを放棄し、かつ、その医療法人が持分ありの医療法人から持分無しの医療法人に移行した場合は、その相続税が免除されます。
なお、複数の相続人がいるような場合に、出資持分の放棄について、タイミングのずれが生じると、最初に持分を放棄した者から、残りの出資持分を有する者へ、出資持分の価値の増加に対する贈与税が課税されます。それでは、持分なしの医療法人への移行の足かせとなってしまいますから、他の相続人の持分放棄により課税されるはずの贈与税について、納税猶予を認め、やはり持分なしの医療法人へ移行が完了すれば、その猶予税額を免除するという仕組みになっています。
2.認定医療法人について
税制改正大綱によれば、「認定医療法人」とは、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律に規定される移行計画について、認定制度の施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人を言います。
なお、新しい医療法自体が、平成26年4月以降に施行される予定のものであり、名称等の変更の可能性がありますが、出資持分のある医療法人が、出資持分のない医療法人へ移行するための移行計画について、厚生労働省が認定する仕組みとなっています。
平成18年の医療法の改正により、現在は出資持分のない医療法人しか設立することができません。しかし、現存する医療法人の大半は出資持分のある医療法人となっており、平成18年改正によれば、いずれは出資持分のない医療法人へ移行しなければならない前提となっています。
今回の改正は、出資持分のある医療法人から出資持分のない医療法人へ移行がスムーズに行われるように、移行計画について認定を受けている場合には、相続税を猶予し、計画通り、出資持分のない医療法人へ移行した場合には、相続税を免除するというものです。
なお、認定を受けられる期間は、認定制度の施行の日から3年以内であり、移行期間は認定を受けてから3年間となることが予測されています。
3.出資持分のない医療法人へ移行する際の問題点
出資持分のない医療法人であれば、そもそも出資持分が存在しないため相続税の対象となりません。
しかし、出資持分のある医療法人から出資持分のない医療法人に移行する際に、出資持分を放棄するタイミングがバラバラだと、出資持分を最後まで有する個人に贈与税が課税されるという問題がありました。本改正では、この点についての問題点は解消されました。
また、もう一つの問題点として、相続税法66条の4の規定にある、法人に対する贈与税の問題が生じるかもしれないというリスクがあります。あくまでも、特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときに、課税される仕組みですが、今回の大綱をみている限り、この部分についての取扱いについては、変更はありません。十分な検討が必要です。
同じように持分のない医療法人である社会医療法人は、ハードルが少し高いので、長期的に持分のない医療法人へ移行することを検討していたような場合には、朗報と言えるでしょう。
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