税務最新情報

2013年07月10日号 (第194)

簡易課税制度

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。ちょっとしたクイズですが、消費税の条文の中には「2年前の日」という言葉が、よく登場します。例えば、平成25年4月1日の2年前の日って、いつだと思われますか?
 この場合、よくある答えが、平成23年4月1日という回答です。考え方によっては、正解なのですが、厳密にはいつを起点とするかで、答えが変わってきます。
 平成25年の4月1日の24時をスタートと考えると、2年前は、平成23年4月2日の0時と考える必要があります。一方で、平成25年4月1日の正午を起点と考えれば、平成23年の4月1日の正午が2年前になってしまいます。
 消費税の条文を読むときには、事業年度開始の日の2年前という言い方をするので、事業年度開始の日の24時を起点として考えるので、平成25年の4月1日の2年前の日は、平成23年の4月2日と解釈することになります。

1.簡易課税が認められる場合

 消費税の納税額は、「お客様から預かった消費税」と、「仕入先などに対して支払った消費税」との差額として計算されるのが基本的な考え方です。しかし、消費税がかからない経費や、非課税となる経費など、消費税の十分な知識がないと正しい計算が行えません。
 そこで、基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業者は、簡易課税という消費税の計算方法を選択することが認められています。なお、基準期間というのは、通常の1年決算法人の場合は、前々年のことをいいます。

2.簡易課税のしくみ

 簡易課税は、課税売上高に対する消費税から、業種区分に応じたみなし仕入率に対応する消費税額を控除して、消費税額を計算する方法です。みなし仕入率は、下記のようになっています。
・第1種事業(卸売業)    90%  
・第2種事業(小売業)    80%
・第3種事業(製造業)    70%  
・第4種事業(その他事業) 60%
・第5種事業(サービス業) 50%

※例えば、売上高が4000万円の卸売業であれば、課税仕入れは3600万円あるとみなして、
下記のように消費税を計算します。

売上に対する消費税 4000万円×5%=200万円
仕入に対する消費税 4000万円×90%(みなし仕入率)=3600万円
3600万円×5%=180万円
⇒200万円(売上に係る消費税)-180万円(仕入に係る消費税)=20万円(納める消費税)

 

 つまり、課税売上高さえ明らかにしておけば、消費税の計算が行えるのが特徴です。帳簿等の記載がなくても一定の仕入税額控除を受けられるので、事務手続にコストをかけたくない場合などには適しています。
 ただし、簡易課税と言いながら、事業区分の判定は、必ずしも簡単でない場合もあります。

3.簡易課税の選択の手続と効果

 簡易課税を選択したい場合は、簡易課税を適用したい事業年度が開始する前日までに、税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。いったん、簡易課税を選択すると、2年間は簡易課税制度を取りやめることができません。
 簡易課税制度をとりやめたい場合は、取りやめたい課税期間の開始の日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
 なお、簡易課税を選択している場合でも、簡易課税の適用が可能な事業者は、基準期間の課税売上高が5000万円以内である必要があります。つまり、簡易課税を選択している期間中であったとしても、基準期間の課税売上高が5000万円を超える場合には、結果として原則課税による消費税計算が必要になります。
 また、基準期間の売上高が1000万円以下で、免税事業者となる場合にも、簡易課税選択の効力は残ります。その後、課税事業者になった際には、簡易課税による消費税計算を行うことになります。
 かつて、簡易課税選択をして、その後課税売上高がずっと5000万円を超えているので、簡易課税選択をしていたことを失念するケースや、免税事業者から課税事業者に戻る際に、簡易課税選択をしていたことを失念する間違いは多くありますので、注意が必要です。

4.簡易課税の有利不利

 簡易課税の趣旨は、簡便な計算を行うことですが、本来の計算方法と異なることから、同じビジネスをしていても、異なる計算結果となります。
 そこで、簡易課税を選択するか否かについては、簡易課税による計算を行うのが有利なのか、不利なのかを検討してからになります。また、何年か前は簡易課税が有利だったのに、現在は不利になっているという事があるので、定期的に見直しが必要です。
 そして、簡易課税では、消費税が還付になることはありません。多額の設備投資や、輸出などで還付が見込める場合には、簡易課税は利用すべきではありません。

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