税務最新情報

2013年02月01日号 (第179)

贈与税の基本

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。前回は、相続税の基本についてご紹介しましたが、今回は相続税と関係が深い贈与税のご紹介をします。

 贈与税について、平成25年度税制改正で改正されることになりましたが、それらの点については、また、改めてご紹介いたします。

◆相続税と贈与税の関係

 贈与税という言葉は、聞いたことがある方が多いと思います。でも、「贈与税法」という法律は存在しません。実は、「相続税法」で贈与税についての取扱いを定めています。

 なぜ、相続税法で贈与税について定めているかというと、贈与税が相続税を補完する関係にあるからです。相続税は、人が亡くなった際に保有する遺産に対して課せられる税金です。例えば、贈与税が存在しなければ、相続前に家族に財産を贈与してしまうことで、相続税を逃れることが可能です。そこで、相続税を逃れることを防止する趣旨で、相続税よりも高い税率で贈与税が課税される仕組になっているのです。

◆贈与税の計算の仕組みと基礎控除

 贈与税は、その年の1月1日から12月31日までに贈与によりもらった財産の価額を合計して、その合計金額から基礎控除額110万円を差し引いた課税価格に対して、税率を乗じて計算します。
 この場合の税率は、累進税率といって、基礎控除を控除した後の課税価格に応じて、定められており、金額が高くなるほど、税率が高くなる仕組みになっています。

 贈与税の申告と納税は、贈与があった翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。

◆贈与税の非課税財産

 基本的には、贈与税の非課税財産は極めて限定的です。家族内で生活費や教育費のやりとりについては、常識的な範囲では非課税とされています。それ以外で、日常的に登場するものとしては、香典、花輪代、お中元、お歳暮、祝い物、お見舞い等が非課税とされていますが、あくまでも常識的な範囲でという取扱いです。
 これらについては、課税することも難しいですし、常識的な範囲と限定して法律上許容していると考えられます。

 また、住宅取得資金の贈与のように、特定の親族間で、要件を満たす場合に一定金額について、贈与税を非課税とする取扱いがあります。
 この取扱いは、住宅という生活基盤となる財産の取得を促進し、一方でそのような需要を喚起するという政策的な趣旨によるものです。

◆相続時精算課税制度

 贈与に関して、相続時精算課税という制度があります。この制度は、特別控除額が2,500万円と大きく取られており、それを超えても税率は20%となります。ただし、贈与した財産について、相続税の計算に組み入れて、相続税の申告の際に精算する仕組みです。なお、本制度は要件を満たす場合に、納税者が選択できる取扱いとされています。

 この制度の特徴は、特別控除額が大きく、通常の贈与税よりも税率が低いことです。通常の贈与だと負担が大きすぎて実行できないような贈与が、相続時精算課税を選択することで実行可能となるケースがあります。
 それ以外に価格を固定する効果が期待できます。贈与時に1,000万円の財産が、相続時に1億円になっていたとしても、相続時に相続財産に組み入れるのは贈与時の時価1,000万円だけとなります。つまり、値上がりが期待できるような資産で利用すると、相続税の節税につながります。

 逆に幾つかのデメリットもあります。価格固定効果は、金額が下がるような場合は、相続税対策としては逆効果となってしまいます。
 また、通常の贈与税なら、年間110万円の基礎控除枠がありますが、相続時精算課税を選択すると、それ以後の贈与はすべて、相続時精算課税に組み込まれることになり、毎年の基礎控除が利用できなくなります。
 それ以外にも、相続の順序が入れ替わってしまう場合に二度課税されること、不測の事態が起こっても撤回できない硬直的な点、基礎控除の枠がなくなるため僅かな贈与でも申告が必要となる点などのマイナス面もあります。

 相続時精算課税は、長所と短所があるため、その選択には十分な検討が必要です。

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