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2023年04月03日号 (第464)
令和5年度税制改正 エンジェル税制など
みなさん、こんにちは。4月になりました。マスクを外した人をみかけるようになりましたが、コロナの患者数が増えているようですね。なかなか完全に元通りとはならないようで、厳しい景況感です。
さて今回は、令和5年度税制改正における、エンジェル税制等、所得税の改正をご紹介します。
エンジェル税制とは
エンジェル税制という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、実際に利用している人は少ない様で、多くの人にとっては縁が薄い制度かもしれません。
簡単に言えば、ベンチャー企業の資金調達を促すために、投資家がベンチャー企業へ投資した際、株式の売買で課税される際に有利な計算が行える制度です。
ベンチャー企業という言葉自体、あいまいな部分がありますが、新しいビジネスを行う若い会社というイメージです。別な言い方をすると、多くのベンチャー企業が設立して数年で撤退していくという現実があり、投資としてのリスクは大きいのです。そのようなリスクがある投資ですが、新しいビジネスを育てることは日本経済にとって必要とされるために、エンジェル税制が設けられています。
エンジェル税制の改正
エンジェル税制は、特定の株式の取得に要した金額を、他の株式の譲渡所得の金額から控除することができる制度です。その年の株式の譲渡所得から控除できる部分については従来通りですが、今年の改正で、その特定の株式を将来において売却した際に、20億円まで課税されない仕組みとなります。
従来は譲渡原価となる部分を先取りして、その特定の株式にかかる譲渡益について、課税を繰り延べる制度だったものが、特定の株式について20億円の非課税枠を設ける制度となりました。
特定中小会社設立時発行株式に関する控除制度
前項のエンジェル税制は、すでに存在するベンチャー企業への投資に対する優遇です。令和5年度税制改正では、新規に設立する際に発行した株式についても、エンジェル税制と同様のメリットが得られる制度です。
この制度は、特定の中小会社の設立時に払い込んだ金額について、その取得をした年の株式の譲渡所得から控除できる仕組みです。またその株式を売却した際に、20億円まで課税されない仕組みとなります。
なお、エンジェル税制とは選択適用となります。
ストックオプション制度の改正
ストックオプションとは、会社が従業員や役員などに株式を一定の金額で購入できる権利を付与することをいいます。例えば一株1万円で買える権利をストックオプションとして付与します。数年経過して時価2万円のときに、ストックオプションを行使すれば1万円で株式を購入できるので、有利になるといった仕組みです。
一定の要件を満たす場合は、権利行使して株式を取得したタイミングで課税するのではなく、株式を売却した時まで課税を繰り延べるのがストックオプション制度です。
令和5年度税制改正では、株式の権利行使時期が、付与決議の日から2年超かつ10年以内から、2年超かつ15年以内に延長されより使いやすくなります。
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